誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―


取り敢えず、落ち着きたくて向かった公園のブランコ。

何年かぶりにブランコに乗って、あの頃は楽しかったな――と思う。


「………」


けれど、心に温かみが生まれたのも一瞬。

脳に数分前の出来事が過ぎて行って、心に冷たさが増した。


“重い”と言われて苛立ったけれど、リョウくんを好きだった私にはやっぱりフられたショックと悲しさが勝った。


「リョウ、くんっ…」


好きだったのに……

その思いだけで、涙が溢れる。

21回、経験してると言え、好きな人に振られて悲しくならない人なんていない。

またか…、で済ませられるわけがない。


私の気持ちは、そんなに軽いものじゃない。

いつだって私は本気なのに、


なのに何で、…どうしていつもフられてしまうの――…?

どうして、上手くいかないのよ。


それがまた悔しくて、流す涙の量が増した。





< 3 / 192 >

この作品をシェア

pagetop