誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―
トゥルルっトゥルルっ
そんな時、電話が鳴り響いた。
『…ぁ、俺だ。…ちょっとごめんね。』
今回は新様の携帯が鳴り、新様が寝室に去ってゆく。
あまり聞かれたくない電話か…。
このままここで新様の電話が終わるのを待っていたいけど、このシチュエ―ションではやりにくい。
最近出会った女がずっと上がりこんでるって言うのも…。
何か期待してるようにも思われちゃアレだし…。
ぃや、期待してるよ!?
もっと…新様とお近づきに…、とか、さ…。
でも、そんな下心垂れ垂れって、ダメな気がする…。
結局、いろいろ考えた結果、帰ることにした私は、メモ帳に“お世話になりました”とメッセージを書いて、新様のいえから出たのだった。