誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―


――数時間前。


私は、何か掘り出し物を見つけるため、よくする一人ショッピングをやっていた。

……渋谷で。


そしたら…


『――新ッ!』


私の想い人と同じ名前が聞こえて、よく周囲を見渡した。

お礼をしたあとから、会いたくても会えなかったから。

……勝手には新様の家に行っても、困らせるだけだし。

だから余計に反応しちゃったんだ。


――今思えば、立ち止まらなければ良かったと切に思う。

女の人が呼ぶ時点で。

タイミング良すぎで、そんなことないと、気にしなきゃ良かったんだ。


――…新様が綺麗な女の人に抱き着かれて、笑顔を溢してる姿なんて見るよりも。






< 56 / 192 >

この作品をシェア

pagetop