誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―
――数時間前。
私は、何か掘り出し物を見つけるため、よくする一人ショッピングをやっていた。
……渋谷で。
そしたら…
『――新ッ!』
私の想い人と同じ名前が聞こえて、よく周囲を見渡した。
お礼をしたあとから、会いたくても会えなかったから。
……勝手には新様の家に行っても、困らせるだけだし。
だから余計に反応しちゃったんだ。
――今思えば、立ち止まらなければ良かったと切に思う。
女の人が呼ぶ時点で。
タイミング良すぎで、そんなことないと、気にしなきゃ良かったんだ。
――…新様が綺麗な女の人に抱き着かれて、笑顔を溢してる姿なんて見るよりも。