誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―
◆Second Moon
私、水川 愛実と申します。
――『どうぞ、入って。』
「…ぉ、邪魔します…。」
来ちゃいました。
王子様の家。
『何か飲む?』
「ぇ?あっと……」
『ぁ、それよりお風呂だよね。』
「ぇ」
まさか、
『お風呂入ってきなよ。……えっと、着替えはー…、』
固まる私を余所に、クローゼットの中を漁りだす王子様。
ちょっと待って、
お風呂?
私が?
『あった!』
「!!」
王子様が持って来たのは、黒の短パンとTシャツ。
『ちょっと…いやかなり大きいと思うけど、着替え。お風呂場は、あそこね。下着は…さすがにないんだけど。』
「へっ!?いやっ、だっ、大丈夫ですっ…!ありがとうございますっ」
『ぁっ…んと、ごめんね。』
「ぃ、いえっ…!」
下着のことを言われて恥ずかしくなった私は、謝ってくれてる王子様の声を背に、お風呂場へと駆け込んだ。