誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―
「ぉ、王子様って…っ///」
王子様って、意外とだっ、大胆…///
シャワーを浴びながら、一人赤面する私。
シャワーも気持ち良くて、身体が温まっていくのが分かる。
それに、王子様に会えて……
心まで、温まった。
――「好きに、なっちゃいそう……」
王子様の服に身を包んで、呟いた。
フられたばっかりなのに…王子様を好きになっちゃいそう。
ポカポカの心に少し芽生えた好きという感情。
やっぱり恋って、するものじゃなくて、しちゃうものでしょ?
――「…ぁ、あのっ」
『あ、おねーさん。』
雨で濡れた着替えを持って、王子様の元へ行く。
私を見て笑顔を見せた王子様にドキッと胸が高まった。
か、可愛い…
『お風呂、どうだった?』
「ぁっ、気持ち良かったですっ…ありがとうございましたっ!」
『いいえー。じゃ、俺も入ってこようかな。』
「ぇ、」
『あっ、はい!これ。』
ソファに座っていた王子様が立って、差し出されたのはマグカップ。
『ココア。さっき淹れたから、まだ暖かいよ。』
「ぁ、…ありがとうございますっ……」
熱いくらいのココアが入ったマグカップを受け取る。
『ソファに座ってゆっくりしてていいよ。俺、お風呂に入ってくるね。』
「ぁっ……」
笑顔を残してお風呂場に消えて行った王子様。
マグカップをもらった私は、まだ暖かいココアを一口飲んだ。