‡3姉妹の恋‡【幸せになりたい私たち】
「平居、途中まで送ってくよ」
「え? いいよ、大丈夫だよ」
「雨だし、オレ車で来てるから」
車って…
なんだか、少しイヤな予感がした
おじさんは、さっき裏口で別れちゃったから
もう、行っちゃったし…
「葛西くん、ホント大丈夫だから…
バスもまだあるし…」
「雨だと、バスも遅れてくるよ
バス停で一人では、ちょっと危ないと思うよ」
って、
あなたの方が危ない、と思うんだけど…
「ほんと、大丈夫だから
か、傘だけ、お言葉に甘えて
借りるね」
そう言って
葛西くんに背をむけようとしたら
ガシッ
腕を掴まれ
「オレの言うとおりにしろよっ!」
今まで見たことがない
厳しい表情の葛西くんの顔になった
そして、
葛西くんの方へと引き寄せられる
「い、痛いよ、離してっ!」
持っていた傘は道路に落ちて
雨が全身を濡らす