【短編】未亡人の彼女と高校生の僕
「他にも、墓花とか、幽霊花とか、剃刀花とか、狐花とか」
「へぇ。なんかでも、あんまりいい名前じゃないね」
「そうね。毒もあるし、見た目も不気味と言えば不気味よね」
「うん。なんか、不思議な花だよね」
僕は少し萎(しお)れかかった彼岸花をぼんやり眺めた。
夕暮れ時の道を、二人並んで歩く。
何も話さないまま橋を渡り、そして河川敷へ降りた。
「耕介さんに出会えて、よかった」
ハナさんがぽつりと言った。
「……僕も」
河川敷のコンクリートに並んで腰かけて、川の流れを眺めた。