【短編】未亡人の彼女と高校生の僕
しばらくして気がつくと、ハナさんの姿はなかった。
代わりに、狐がそこに1匹いた。
「耕介さん」
その狐がしゃべった。
声は、ハナさんだった。
僕は、わけがわからずただ立ち尽くしていた。
「これで、あなたのお父さんを許してあげる」
「え?」
「まさか、あのトラックが耕介さんのお父さんだったなんて」
狐の言葉に背筋がヒヤリとした。
「まさか……」
確かに、あの道路は秋になると事故が多い。
人間ではなく、動物の。
親父は、狐をはねたのか?
その狐は、ハナさんの、いや、この狐の旦那だったということか。
それならば、駐在さんが知らなくて当然だ。