【短編】未亡人の彼女と高校生の僕
声をかけるべきか。
僕はペダルを漕ぎながら思案した。
彼女に近づくにつれ、妙な緊張感に駆られた。
そして、僕が彼女の前を通りすぎようとしたとき。
「すみません」
彼女から声をかけられ、僕は慌ててブレーキをかけた。
「ぼ、僕ですか?」
「はい」
「なにか?」
「実は先日、この辺りで事故がありまして。わたしの旦那さんが、亡くなったのです。事故を見かけた人がいないかと思いまして」
そう言って彼女は目を伏せた。
その仕草が妙に色っぽくて、一瞬心臓が縮んだ。
よく見ると、とても色白で華奢で、儚げな感じがとても魅力的な人だ。