【短編】未亡人の彼女と高校生の僕
それから数日後、いつものように自転車での下校中のことだった。
自宅近くの駐在所で、先日出会った女性と駐在さんが話をしているところを見かけた。
信号待ちの間、しばらくその様子を道路の反対側から窺っていると、女性はひとしきり駐在さんと話したあと、がっかりした様子で駐在さんに頭を下げた。
おそらく、事故の手がかりが何も見つからなかったのだろう。
僕は彼女が少し気の毒に思えた。
信号が青に変わると、僕は急いで横断歩道を渡った。
「こんにちは」
僕が声をかけると、彼女は肩をびくんとさせた。