《完》シークレット・ティアラ 〜不器用なシンデレラ〜
「いいって。

ぶつかったのはオレにも
責任あるんだし」



言い張る男の人に、
あたしは躊躇した。



どうしよう……こんな
グチャグチャになってる
のに、普通は取り替えないと
ダメだよね……?



でも許してもらえたら、
正直ありがたい。

店長にも怒られないですむし。



「ほ、本当にいいんですか?」



恐る恐る聞くと、男の人は
左に流した前髪を揺らして
頷いた。



「かまわない。そのまま
そこに置いとけばいい。

で、これ支払いはどうすんの?」



「えっ? 支払いは――
えっと、ここで頂くんです
けど……」


_
< 19 / 480 >

この作品をシェア

pagetop