《完》シークレット・ティアラ 〜不器用なシンデレラ〜
「―――終わったぞ。行くか」



足音が近づいて、聞き慣れた
声が聞こえたのはその時。



あたしは弾かれたように
顔をあげた。



「……なんだ? 鳩が豆鉄砲
くらったみたいな顔して。

彰、車は?」



「問題ないよ。
地下駐車場の東側だ。

――ハイ」



瀬戸さんが投げたキーを、
スムーズにキャッチして
チャリッと鳴らす洸さん。



「それじゃあ千夜子、行くか。

荷物はお前が持てよ」



「えっ、あ、あの――…っ」



本当に行くの?


あたしと、洸さんが、
二人っきりで。


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