《完》シークレット・ティアラ 〜不器用なシンデレラ〜
それを疑うなんて最低だ。



そしてもしそれが消えて
しまえば、今のあたし自身も、
砂の城のようにもろく崩れ
去るだけなのに。



わかってるのに……振り
切れない。



あんな話なんて嘘だって
言い切って跳ね退けることが、
もうできない。



だってそれほどまでに、
あたしの心はズタズタに
引き裂かれて――

もう、今にも破裂して
しまいそうだから。



(あたし―――…)



………ふと、思った。



あたしはこんなにも、
“何が”悲しくて泣いて
るんだろう。


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