《完》シークレット・ティアラ 〜不器用なシンデレラ〜
謝る以外伝えようもない。



でも、違うんです洸さん。



言えないのは、洸さん
だからこそ。



あたしにとって洸さんは――
もう、なくてはならない
存在だから。



だからこそ、言えない。

失ってしまうのが、怖いから。



「ごめんなさい――」



何に対してか言えないまま、
もう一度繰り返した。



洸さんはそんなあたしに
視線を戻し――

刺すような強い瞳で見つめると、
次の瞬間、バッとあたしの
右腕を掴む。



(えっ―――!?)



いきなりのことにビクッと
体を震わせたあたしを、
洸さんは強引にグイッと引いた。


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