《完》シークレット・ティアラ 〜不器用なシンデレラ〜
いよいよ出口のドアが見えて
泡を食って叫んだあたしに、
洸さんはチラリと視線を走らせ。



そしてこれっぽっちも迷いの
ない声で、こう言った。



「撮影なんざくそくらえだ。

今はそれどころじゃない」



「は――――…?」



……どういうこと?


何を言ってるの、洸さん?



わけがわからなくて、
もはや呆然とするあたし。



そんなあたしを連れて、
とうとう洸さんは建物を
出てしまった。



路上でタクシーをつかまえると、
有無を言わせずあたしを
押し込んで発車させる。


_
< 339 / 480 >

この作品をシェア

pagetop