《完》シークレット・ティアラ 〜不器用なシンデレラ〜
……こんなことって
あるだろうか。



動きを止めた空間の中に、
あたし達だけが、ひっそりと
息づいてる。



こんな不思議な感覚は、
初めてだ――。




「そんなに窓ガラスに
張りつかなくても見えるだろ。

少しは落ち着け」



向かいのシートに座った
洸さんが、苦笑まじりに言った。



あたしはビクッと振り返って、



「でもこんなの……一体
どういうことなんですか?」



「まぁ見てろ。そのうち始まる」



「え? 始まるって、何が――」



―――その時だった。



止まっていた世界が、
いっせいに動き始めたのは。



「え――――!?」


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