《完》シークレット・ティアラ 〜不器用なシンデレラ〜
(勝手に来たんだから、
それくらいは待って下さい
よぉっ)



と、内心では叫びつつも、
声に出す勇気はないあたし。



でも目だけで何とか訴えると、
ヒロムさんは諦めたように
肩をすくめて、



「……わかったよ。

まぁ、どのみちこの後は
フリーにしてある。
仕方ないから、待ってやる」



フリー? 予定はないってこと?



(それなら最初から、
そう言ってよ……)



ドッと疲れて背中を丸める
あたしの視界に、スッと
細くて長い指が現れた。


――カウンターに、ヒロム
さんが片手を置いたんだ。


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