《完》シークレット・ティアラ 〜不器用なシンデレラ〜
やがて待ち時間が終わり、
会場の準備が整ったと
スタッフが報告に来る。



あたし達はいっせいに
ステージへの移動を始め、
それと一緒に洸さんも
楽屋を出た。



大勢ががやがやと騒ぎながら、
狭い通路を移動してた時――…。



「一人前にすねたか、千夜子?」



ふいに、至近距離から
耳元で囁く声。



――いつの間にか、さりげない
ふうを装いながら、洸さんが
あたしの隣を歩いてた。



「洸さ……?」



「シッ。こっち見ないで、
前向いて歩けよ」



「……………っ!」


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