《完》シークレット・ティアラ 〜不器用なシンデレラ〜
見上げるためにあげたアゴを、
洸さんの細い指がとらえる。



吐息が触れるほどの距離で
まっすぐにあたしを見つめ――
洸さんは、言った。



「オレが、輝いてるお前を
自分のものにしたかった。

それだけだよ」



「……………っ!!」



「泣くな。

泣きやまないなら――
もう、容赦してやらない」



風のような囁きが、耳に届いて。



そしてあたしが答えを
発する間もなく……唇に
温かなぬくもりが訪れる。



「んっ―――…」



呼吸も熱も、全部持って
いかれそうなほどのキスだった。


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