《完》シークレット・ティアラ 〜不器用なシンデレラ〜
初めて経験する感覚にあたしは
知らず知らずのうちに身を
強張らせ、ギュッと洸さんの
シャツの胸元をつかむ。



すると洸さんは、少しだけ
腕を緩めて隙間を作り、
そっとあたしの手を解かせた。


そのまま誘導する先は、
洸さんの背中――…。



(洸さん………)



ゆっくりと、広い背中に
両腕を伸ばす。

そしてありったけの想いを
込めて、ギュッと力を入れた。



「多分オレは、5年前から
ずっとお前に惹かれてた。

あの頃と同じ後悔はしたくない。
だから、オレは……」



キスの合間に降り注ぐ、
優しい声。


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