《完》シークレット・ティアラ 〜不器用なシンデレラ〜
「信じるなんて……あたし……」



漏らした声に、ガチャッと
ドアの閉まる音が重なった。



――呆然としてる間に、
いつの間にか二人はもう、
出て行っちゃってたんだ。



「そんな……嘘、だよね……?」



シンデレラストーリーって
いう言葉は知ってるけど――

それは、変身することを
願ってる人にだけ訪れる、
ラッキーチャンスなんだと
思ってた。



(あたしはそんなの、
求めてないよ……)



あたしは冴えないフリーター。



バイト先と家を往復する
だけで、楽しさも輝きも
ない生活をおくるだけの
毎日だけど、それでいいの。


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