いじめられっ子の華麗な素顔
それは、中学1年の春。
大体が、初等部(小学校)からの入学生。
私のクラスも例外ではなく、顔見知りばかりだった。
そんななか、遠くから越してきたという、ひとりの少女がいた。
上辺だけの人付き合いが嫌になり、
ひとりになろうとしていた私に、彼女が話しかけてきた。
「月園さん。
私、雅野はるか っていいます。
もう結構グループになちゃって、私入れないんだ。
仲良くしましょう?」
『月園凛子。よろしく。』
どうせまた、家柄目当ての奴だろうと、
そっけなく挨拶を済ませた。
「凛子って呼んでいい??
私のことははるかって呼んでね♪」
私がYESの返事をする前に、
私のことを、「凛子」と呼び、つらつらと話をする彼女。
同年代・・・・はおろか、「凛子」なんて呼び捨てで呼ばれることはあまりなかった。
だからか、新鮮な気持ちになった。
はるかは初めて話たその時、“月園財閥”の名を一度も出さなかった。