君だけのもの。
涙ひとつ流さなかった
無関心な父親。
口を聞いてくれない
私を嫌う母親。
お兄ちゃんがいなくなった今、
家では居場所なんてない。
和樹先輩だけが
支えだった。
私の中で、和樹先輩の存在が
どんどん大きくなっていった。
それと同時に
少しずつ少しずつ
気持ち的に立ち直ることができていた。
――そして、
それから3ヶ月後。
和樹先輩の態度が
急変した。
「遅れてごめんなさいっ」
息を切らせて
向かった先は学校の屋上。
和樹先輩は部活が忙しくて
なかなかゆっくり会えないから
朝のホームルームが
始まる前に
いつもこうして会っている。
低血圧な私は朝が大の苦手。
今日はどうしても
起きれなくて少し遅れてしまった。
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