夏の空~彼の背中を追い掛けて~
始まりの予感
高校3年を迎えたある梅雨の日。
1年の頃から仲が良いクラスメイトの田川 紀香(タガワ ノリカ)が慌ただしく教室に入って来た。
「紀香おはよう」
「おはよう、真弥!ねぇ!!チョット聞いて!?今日マジでヤバかった…」
紀香は雪崩れ込む様に、机に伏せる。
「ヤバかったって何が?」
主語がない為、紀香が何を言おうとしているのか分からない。
「○○工業に通ってる幼なじみの後輩、孝道(タカミチ)と毎朝同じバスなんだけど…迫られた…」
顔を上げた紀香は、宙を仰ぐ。
「最近やたらとくっついて来て、今日はキスされる寸前だったんだよ!?」
初めて見せるウンザリ顔から、相当嫌がっている事が分かる。
でもね、きっと孝道君に悪気は無い。
そう言うお年頃ってやつだから、ただ単に迫って、隙あらばってやつじゃないのかな?
「ねぇ紀香。遊びで良いなら私が孝道君の相手してあげるよ?」
もう数人の男と愛のないHをしてる。
1人2人増えた所で、困るような事はない。