夏の空~彼の背中を追い掛けて~
でも、何も言わず、私だけここに残すってどう言う事?
もしかして、飲み物でも買いに行ったのかな?
だったら直ぐに戻って来るよね。
勝手な妄想に納得し、私は孝道君に声を掛けた。
「ここ薄暗いし、私達も外に出る?」
「えっ……う……んっ?」
全く話を聞いていない様子で、孝道君は曖昧な返事を返す。
何だか変じゃない?
どうしちゃったのかな?
「孝道君?何かあったの?」
「……此方に来て」
ほんの数秒間の沈黙後、言葉を発すると同時に、孝道君は私の腕を掴み歩き出す。
「ど…どこ行くの!?」
「………」
孝道君は何も答えず、掴んだ手に力を込めた。