夏の空~彼の背中を追い掛けて~
何!?何なの!?
どうして何も答えないの!?
戸惑う私を余所に、孝道君は近くに見えるドアを開けた。
うっ…眩しい…。
先程までの薄暗さとは違い、小さな窓から差し込む明かりで、目がチカチカする。
あっ………。
視界が明るさに慣れ、ハッキリ見える孝道君の顔に、思わずドキッと胸が高鳴る。
何だろう…この感じ…。
少し切羽詰まった顔に、嫌な予感がしてならない。
「真弥ちゃん、お願い!1度だけで良いから、俺として!!」
孝道君は、すがる様に私を見つめる。
ついさっき感じた嫌な予感は、これを意味してたんだ…。
「ごめん…出来ない」
私は孝道君に背を向け、ドアに手を伸ばすも、再び捕まってしまう。
「どうして!?何で俺とはしてくれないの!!」
強めの口調になる孝道君に、一瞬怯んでしまう。
きっと以前の私なら『仕方ないなぁ』と軽いノリで受け入れてたと思う。
でももう、前の私じゃない。