夏の空~彼の背中を追い掛けて~
んっ!?
目の前に飛び込んで来た光景を見て、私の足が止まる。
何と、紀香を追い掛けていたのは、人ではなく中型犬だった。
「アハハハッ、ノンちゃん犬に何かしたの?クックックッ」
「もう!付いてこないでってば!!」
グラウンド中を逃げ回る紀香を見て、孝道君はお腹を抱えて大笑いしている。
その姿を見ていたら、私もつられて笑いそうになった。
けど、ここは我慢!!
紀香は必死に逃げてるし、笑うのは失礼と言うもの。
つい緩んでしまう頬にグッと力を込め、私は何とか耐える。
そうしているうちに犬の方が諦めて、何処かへ去ってしまった。
「もう!孝道の馬鹿!笑ってないで助けてよ!!」
「ごめん、だって余りにも面白かったから…」
膨れっ面の紀香と笑いが止まらない孝道君と、公民館前の階段に座ってお喋りをしている間に、父の迎えが来て私は帰宅した。