夏の空~彼の背中を追い掛けて~
話す事も顔を見る事も出来ない私を見て、漣は怒っていると思ったのだろう。
体勢を低くして、視線を合わせてくる。
ガタンッ!!
鈍い音がして周りを見ると、何故か私が椅子から落ちていた。
えっと……。
何で落ちたの?
その理由が分からない。
「大丈夫か!?」
咄嗟に漣が手を差し伸べてくれるけど、どう言う訳かその手を掴めない。
「自分で立てるから大丈夫」
周りの視線に顔が熱くなるのを感じながら、私は椅子に座った。
「真弥……あ…のさ…」
紀香をチラチラ気にしながら、話しにくそうに漣は口籠る。
あっ…紀香が事情を知ってる事を知らないから、躊躇してるんだ。
「紀香、先に食べてて?漣、ベランダに行こっか…」
ちょっとしか口を付けてないお弁当の蓋を閉じ、私はベランダに出た。