夏の空~彼の背中を追い掛けて~
入り口付近に腰を下ろすと、漣も隣に座る。
すると無意識に、私の体が一定の距離を保とうと離れて行く。
「真弥?」
不思議そうな顔を浮かべた漣が、離れた分近付くと、私の体はまた距離を取る。
何かを感じたのか、漣は俯きこう言った。
「…さっきはゴメン。悪かった。…アイツと幸せになれよ!」
精一杯、絞り出す様な苦しげな声でそう告げると、漣は教室へ戻って行った。
「真弥、漣君何だって?」
心配してか、入れ替わる様に、紀香が2人分のお弁当箱を持って、ベランダへ出て来る。
「さっきの事…ゴメンって謝ってくれた」
「そっか……。それより早くご飯食べないと午後の部が始まるよ!?」
紀香は場を明るくする様に、無邪気な笑顔で隣に座り、お弁当を口に運ぶ。
アレッ?
紀香が隣に座っても、私の体は動かない。
漣の時は、あんなに離れようとしてたのに…。
一体どう言う事?
昼食を食べ終わり、グラウンドへ向かう途中で、あの不思議な行動の原因が少しずつ分かってきた。