夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「ノンちゃん、直方さん!午前中来てたのって、俊介じゃなかった!?もしかして、どっちか付き合ってるの!?」
隣のクラスの男子が、親しげに話し掛けてくる。
俊ちゃんを知ってるって事は、紀香とも同中なんだろう。
「どっちとも付き合ってないよぉ。ただ応援に来てくれただけ」
紀香の答に、彼は納得いかないといった顔をする。
「あの俊介がわざわざ応援に来るなんて、どっちかの事が好きとしか思えない!また午後も来るの?」
「分かんない」
「もし来たら、俺の所にも顔を出すように言って?じゃぁ午後も頑張ろうな!!」
彼は紀香と私の肩に触れ、駆け足でグラウンドへ向かう。
すると直ぐ様、私はゾクゾクッと悪寒にも似た気持ち悪い感覚に襲われ、スーッと血の気も引いていく。
何コレ?
私、明らかに変だよ。
「真弥?顔色が悪いけどどうしたの?」
「んっ?何でもない。大丈夫だよ」
紀香に心配を掛けたくなくて平静を装ったけど、気持ち悪さは消えない。
グラウンドへ着く頃には元に戻っていたけれど、その症状は、ある条件の時にのみ繰り返した。