夏の空~彼の背中を追い掛けて~


「ノンちゃん、直方さん!午前中来てたのって、俊介じゃなかった!?もしかして、どっちか付き合ってるの!?」



隣のクラスの男子が、親しげに話し掛けてくる。



俊ちゃんを知ってるって事は、紀香とも同中なんだろう。



「どっちとも付き合ってないよぉ。ただ応援に来てくれただけ」



紀香の答に、彼は納得いかないといった顔をする。



「あの俊介がわざわざ応援に来るなんて、どっちかの事が好きとしか思えない!また午後も来るの?」



「分かんない」



「もし来たら、俺の所にも顔を出すように言って?じゃぁ午後も頑張ろうな!!」



彼は紀香と私の肩に触れ、駆け足でグラウンドへ向かう。



すると直ぐ様、私はゾクゾクッと悪寒にも似た気持ち悪い感覚に襲われ、スーッと血の気も引いていく。



何コレ?



私、明らかに変だよ。



「真弥?顔色が悪いけどどうしたの?」



「んっ?何でもない。大丈夫だよ」



紀香に心配を掛けたくなくて平静を装ったけど、気持ち悪さは消えない。



グラウンドへ着く頃には元に戻っていたけれど、その症状は、ある条件の時にのみ繰り返した。





< 144 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop