夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「俊ちゃんが手当てしてくれたから平気。大丈夫だよ」
心の不安を悟られない様に、私なりの笑顔を向けた。
「無理はするなよ?」
「うん」
ポンポンと私の頭に触れ、俊ちゃんは少し離れた場所に居る紀香の所へと移動する。
ホッ…上手く隠せたし、拒絶反応も起きなくて良かった。
「真弥ちゃん、午後は何の競技に出るの?」
「えっと…」
プログラムを広げた私の目の前に、孝道君の顔が近付いて来る。
あっ……。
咄嗟に体が反応し、孝道君から離れていく。
「真弥ちゃん?」
漣と同様、孝道君が不思議そうな顔で近付いて来ると、私の体は後退る。
「真弥ちゃん、俺の事避けてる?」
明らかに不機嫌と言える顔で、孝道君はジリジリと詰め寄る。