夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「もしかして、元カレにされた事がトラウマになって、男の人が怖いんじゃない?」
弘晃君の言葉に誰もが納得して頷く中、俊ちゃんだけは首を傾げていた。
「さっき俺が近付いた時、真弥にそんな素振りは見えなかったけど?」
紀香から奪う様に、突然俊ちゃんが私の肩を抱く。
ほんの一瞬、体がビクンと跳ねたが、拒絶反応はない。
「真弥、俺の事も怖いか?」
「ううん。怖くない」
「ホラ見ろ!大丈夫だろ?孝道が強引に迫ったんじゃないか?」
俊ちゃんに疑いの目を向けられた孝道君は、首を横に振り全力で否定する。
「絶対にそんな事してない!」
信じて!と言わんばかりに、今度は孝道君が私の肩を抱く。
するとサッと体が離れると、俊ちゃんがすかさず受け止める。
その光景に誰もが納得した。
俊ちゃん以外の男の人にのみ、拒絶するのだと。