夏の空~彼の背中を追い掛けて~
ちょっと待って!
まさか紀香が俊ちゃんの後ろに乗るの!?
私は…孝道君の後ろ!?
大丈夫かな?
拒絶反応が起きたらどうしよう。
急に不安になり小さく手が震えて、ヘルメットの顎紐を上手く止められない。
「ノンちゃんは孝道の後ろに乗って!真弥、大丈夫?」
サッとバイクを降り、俊ちゃんが顎紐を止めてくれる。
「有り難う。もう大丈夫」
私がそう答えると、本当かどうか確かめる様に、俊ちゃんが手を握ってくる。
「良し!じゃぁ後ろに乗って。道案内は真弥がしてくれよ?俺、分かんないから」
「う…ん…?でもどうやって?」
バイクでの会話は難しいよね?
「右折の時は右側、左折の時は左側の服を引っ張って、止まって欲しい時は…そうだな。両脇の服でも引っ張って?」
「分かった」
後部シートに座り、俊ちゃんに掴まると、バイクはゆっくり発進する。
私は周囲と前方を確認しながら、合図を送り続けた。