夏の空~彼の背中を追い掛けて~
恐らく、紀香のポケットの中で、ベルが震える事はないだろう。
そう思いながら、私は授業に集中した。
「直方さん」
授業も後半が過ぎた頃、前の席の人から手紙が回って来た。
次は誰に回すのか宛名を見ると“真弥へ”と書いてある。
あっ、私にだ!
きっちり折られた手紙を、先生に見付からない様に静かに開封する。
“俊ちゃんから電話してって何度もメッセージが入ってくる。だけど電話番号は俊ちゃんの番号じゃないみたい。どうする? 紀香”
どうするって言われてもなぁ~。
どうしよう…。
紀香が言う様に、電話番号の主が俊ちゃんじゃなかったら一体誰?
どうやって私のベル番号を知ったの?
そもそも俊ちゃんとどう言う関係?
まさか私と同じセフレ?
それとも…彼女?
これは確かめるしかない!