夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「無理。高速バスだから降りれない」
「…分かった。じゃぁ私も帰る。けど俊にはもう関わらないで!」
学校で話した時より、ユカは穏やかだった。
だけどその口調からは、2人の関係は読み取れない為、安易に『分かった』とは言えない。
もし仮に、俊ちゃんとユカが付き合っているならば、私は潔く身を引く。
けどそうでなかった場合、『分かった』と言った為に、俊ちゃんと終わってしまうのは嫌。
今の状態で言える事は、俊ちゃんが望めば私はいつでも会うし、拒めば縁は切る。
「関わる関わらないは俊ちゃんが決める事。だから私は俊ちゃんの意思に任せる」
「……」
ユカは何も言わなかった。
と言うより、調度バスがトンネルに入り、携帯の電波が途切れ、自動的に会話が終了した。
その後、折り返し電話を掛ける事も掛かって来る事も無く、穏やかに時は流れて行く。
相変わらず、俊ちゃんとはベル交換もしていない。
私からメッセージを送るのは簡単だけど、まだ何も事実が分からない。