夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「えっと…それアクションだけど良いの?」
「うん♪私、この俳優さんが好きなんだぁ~」
ハニカム様に微笑んだ紀香の顔は、今までにない位締まりがない。
それだけこの俳優さんのファンだと言う事だろう。
私は紀香の手からビデオを受け取り、それを借りた。
「ただいま」
「お帰り。ノリちゃん、いらっしゃい♪いつも真弥がお世話になってゴメンね」
帰宅するなり、お喋り好きな母に捕まった。
「ノリちゃん、お昼ご飯は···」
「ノリちゃん、今日の夜はね···」
息着く暇もない程に、母は一方的に話を続ける。
このままだと、あっという間に時間が経ってしまう。
「お母さん、着替えたいから部屋へ行くよ?」
半ば無理矢理に話を中断させ、私は紀香を自室へと連れて行った。