夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「じゃぁな!!」と手を振り、歩みを進めた俊ちゃんを見つめながら、届かぬ思いをその背に問い掛けた。
「ねぇねぇ直方さん。今の人、体育祭に来てた人だよね!?」
興味津々と言った顔で、バス待ちをしているクラスメイトの女子が私を囲む。
うわぁ~、こう言うの苦手。
何となく、一方的に攻められてる気になっちゃうんだよね…。
だからだろうか…。
何となく、オドオドしたような返事になってしまう。
「…ん……そう…だけど…」
「あの人、格好良いね!!直方さんの友達?それとも彼氏?」
う゛っ…その質問、1番嫌。
俊ちゃんとは100%カレカノではないけど、連絡すら取り合っていない今の状況で、友達と言えるのだろうか…?
だからと言って、聞かれた質問に対し『彼氏でも友達でもない』と答えるわけにいかない。
「彼氏…じゃないよ。友達……」
数秒の間はあったものの、そう答えるしかなかった。