夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「えーっ!?彼氏じゃないの!?体育祭の時、直方さんと漣君が居なくなった時、スッゴい必死な顔で探してたから、彼氏かと思ってた」
そ…そうなんだ…。
「さっきの人が直方さんの手を引いて、グラウンド横を通ってるのを見たんだけど、何か訳ありなのかな?と思って、ずっと聞けなかったんだぁ」
私の向かい側に立っていたクラスメイトは、先程まで俊ちゃんが居た場所を振り返る。
そっか…アレも見られてたんだ…。
誰も何も言わないから、気付かれてないのかと思ってたけど、そうじゃなかったんだね。
漣がどんな顔で体育祭に戻ったかは分からないけど、私はあちこちに擦り傷を作り、泥だらけだった。
そんな姿を見たら、何かあったと察されても仕方ない。
『漣君と何かあったの?』
『寄りが戻ったの?』
『あの男の人は、新しい彼氏?』
『まさか三角関係?』
あの時に、興味本意でこんな事を聞かれても、私も漣も答える事は出来なかっただろう。
あれからもうすぐ2ヶ月。
あの日の光景は今でも色褪せる事なく、クッキリと脳裏に焼き付いて、思い出すだけでも体が震えそうになる。