夏の空~彼の背中を追い掛けて~
秘密


自動車学校から帰り、部屋でマッタリしていると、携帯が鳴り出した。



誰かな?



ディスプレイを確認すると、そこには“漣”と表示されている。



あっ…削除するの忘れてた…。



あれ以来、漣とは全く話をしていない。



無理矢理あんな事して、よく電話なんて掛けられるよね!!



今更、何の話があるって言うの?



2ヶ月経ったとは言え、心の傷はまだ癒えてない。



私には話す事なんて、何にも無い。



無視しちゃおうかな…。



携帯を握ったまま躊躇していると、電話は切れた。



留守電にメッセージの録音もないし、大した用ではなかったんだろう。



そう自己解釈した数分後、また携帯の着信音が鳴り出した。



「もしもし」



どうしようか迷いながら、普段よりも低いトーンで電話に出ると、漣は困った様な声を出す。





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