夏の空~彼の背中を追い掛けて~


「漣、もし子供がデキたらどうする?」



「勿論、ちゃんと責任は取る!学校辞めて、働く。真弥と子供は俺が養うよ」



その言葉に嘘はないと信じていた。



だからこそ、漣の子供を妊娠した時は嬉しかった。



でも、私の両親と漣の両親は大反対。



「産みたい」とどんなに訴えても、世間体や親の都合で、私達の意見は全く聞き入れてはくれず、精神的に疲れ果てた私の体には、赤い発疹とチクチク刺す様な痛みに襲われた。



すると、それに気付いた母は私を助手席へ乗せると、皮膚科へと向かった。



「真弥、妊娠してる事は、絶対に先生に話しちゃダメだからね!!」



道中に言われた有無を言わせぬ母の強い口調が、弱った心を更に苦しめた。



診察の結果、体の赤い発疹は帯状疱疹との事。



発疹が腰の周りを1周しようとしていた為、薬の服用と赤外線治療を毎日行わないと、自分の命にも関わる。



赤ちゃんは大丈夫かな?



何も影響はないのかな?



治療を受けなかったら、私はどうなるの?



赤ちゃんと私の命、両方を守る道はあるの?



そんな疑問を、母や先生に聞く事も出来ず、逆らう事が出来なかった私は、泣く泣く治療を優先した。





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