夏の空~彼の背中を追い掛けて~


私は代金と引き換えにそれを受け取ったものの、どうしようかと悩んでいた。



と言うのも、自宅でコッソリ使うか、近くに有る公衆トイレで使うか…。



自宅だと使用後の処分に困ってしまうし、今使って“もしも”の時は亜紀に知られてしまう。



誰かにペラペラと言い触らす性格ではないけど、迷惑を掛けてしまうかも知れない。



やっぱり家に帰ってから使おうか…。



だけど“もしも”の時は、1人で現実を受け入れられるだろうか…。



何も言わず黙ってそれを見つめる私を、亜紀は暖かく見守ってくれていた。



どうしよう…。



どっちを選択したら良い?



色々な事を想定し自問自答するうちに、不安感と恐怖心が増していく。



臆病風に吹かれた私は、今使う事を選択した。



「亜紀、もう少し一緒に居て貰っても良い?」



「うん。もう少しと言わず、ずっと居てあげるよ!」



不安を消す様な力強い声が、とても心強くて頼もしく思えた。





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