夏の空~彼の背中を追い掛けて~


私は駅の横に有るトイレへ入るも、妊娠検査薬を持つ手が小さく震える。



身に覚えが有る為、怖くて仕方がない。



落ち着けー!



落ち着けー!



私はドキドキする心を抑える為、大きく息を吸い込んだ。



スーーーーーッ



ハァーーーーーッ



良し!



何の意味もない気合いを入れ、いざ検査に挑む。



結果は約3分後。



それまでのドキドキ感は半端じゃない位、早鐘を打ち続ける。



1秒1秒が長く感じられる中、陰性を示す丸い窓に赤いラインが浮かび上がる。



んっ?大丈夫!?



妊娠はしてない?



良かったぁ~♪と安心したい所だけど、まだ判定が終わった訳じゃない。



お願い!陰性判定のままで終わって!!



私は祈る思いで、目を固く閉じた。



しかし願いも虚しく、妊娠検査薬は陽性を示す四角い窓に、赤いラインをクッキリと印した。





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