夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「ノンちゃんの家に行くの?」
バイクのギアに足を掛け、振り向き加減に俊ちゃんが言葉を掛ける。
ノンちゃんて言うのは紀香のあだ名で、同中の人達は年齢に関係無くそう呼んでいると言う。
何か羨ましい。
だって紀香と俊ちゃんはそれだけ仲が良いって事でしょ?
いつか私も、その中の1人になれる?
「紀香の家には寄らなくても大丈夫だよ」
俊ちゃんの背中に声を掛けると、バイクのギアが入り少しだけ前に動き出す。
「孝道!お前はこれからどうする?」
「あぁ~ノンちゃん送ってから…その後は分かんない」
「そうか…。じゃぁ俺、先に行くな」
俊ちゃんはハンドルを握るも、発進する気配がない。
んっ?どうしたのかな?