夏の空~彼の背中を追い掛けて~
紀香の家まではT○-Rで帰る。
「真弥、少しの間だけ寒さ我慢してな」
「うん、大丈夫。ちゃんと厚着してるから、平気」
「成るべく急ぐから!」
そう口では言いながら、俊ちゃんは私の体を気遣い、驚く程ゆっくりとした速度で走ってくれた。
「送ってくれて有り難う」
「まだ皆寝てる時間だから、真弥ももう少し寝て、体を休めろよ?」
「うん」
「足元、気を付けて歩けよ?」
「うん」
「明るくなったら、また会いに来る」
「うん。待ってる」
私達は名残を惜しむように、暫しの包容とキスを交わして別れた。
幸い紀香の計らいで、玄関の鍵は開いている。
私は音を立てないようにそっと部屋へ上がり、敷かれた布団にコッソリと潜り込み眠りに就いた。
「☆○◇□△」
「▽※〒☆★」
何となく誰かの会話が耳に届く。
でもそれが、夢なのか現実なのか良く分からない。