夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「それから後もう1つ…。俺ら、ちゃんと付き合う事にしたから!」
「えーっ、今頃!?随分前から2人共、両思いだったのに…」
えっ!?そうだったの!?
紀香の思い過ごしじゃなくて!?
これはどうしても知りたい!
「紀香!!いつ頃から私達両思いだったの!?」
「体育祭の頃からじゃない?俊ちゃん違う?」
突然、話を振られた俊ちゃんは恥ずかしそうに下を向き、コクンと頷く。
嘘!?そんなに前から!?
あの日、保健室で『真弥の事が好きかも』とは言われたけど、まさか本当に好きになってくれてたなんて、思わないよ。
「2人共、素直に好きって言えなかった理由も色々あったみたいだし、遠回りしちゃった分、幸せになってね」
「「有り難う」」
私と俊ちゃんは、同時にそう答えた。
「俺、一端家に戻るよ。昼飯を食べたら向かえに来る」
「うん、分かった。あっ!服有り難う」
私はお腹に掛けた防寒着と、夏に借りた白いパーカーを俊ちゃんに渡した。