夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「じゃぁ何で、孝道君は私が来てる事を知ってたの?」
「ん…私も気付かなかったんだけど、どうやら隆明が同じバスに乗ってたみたいで、孝道に教えたらしい」
そうだったんだ…。
隆明君と孝道君は特に仲が良いみたいだし、それ位の事教えて当然か。
成る程!と1人で納得していると、物凄い勢いで部屋のドアが開き、飛び込むようにして孝道君が入って来た。
ギョッ!!としたのと同時に、私の体はスススッと後退りを始める。
「孝道!?何で来たの!?今日はダメだって言ったでしょ!?」
どうやら、食後に掛かってきた電話は孝道君で、紀香には何となく来る予感があったみたい。
だからソワソワと落ち着かなかったんだと理解した。
「ノンちゃんは来るなって言ったけど、俺は自分の口で謝りたいって言ったじゃん!だから来た」
孝道君はズンズン中へ入り、ベッド脇の床に座る。
私は顔を見る事も出来ず、逃げるようにして1番遠い窓の下へ腰を下ろした。
「真弥ちゃん!昨日は本当に……」
孝道君が私に向かって身を乗り出すような仕草をした為、反射的に目と耳を塞ぎ、一切を遮断する。
「☆〒※▽」
誰かが近付き、話し掛けられている気配があるものの、怖くて目を開けられない。