夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「俊ちゃん、ごめん…。私、やっぱりまだ許せない。顔を見るのも怖いし、声も聞きたくない。許してあげるって言ったのに…本当にごめんね…」
「謝らなくて良い。1番辛いのは真弥なんだから…」
俊ちゃんはよしよしと小さい子を宥めるように、私の頭をそっと撫でる。
「有り難う…俊ちゃん」
もし傍に居てくれなかったら、もっともっと酷い事を言って孝道君を傷付けてたと思う。
そうならなかったのは、俊ちゃんが優しい瞳で見守ってくれてたからなんだよ?
ずっと傍に居てくれて、本当に有り難う。
部屋に流れる重たい空気は変わらないものの、私は徐々に穏やかさを取り戻していた。
「真弥、取り敢えず椅子に座ろうか?」
俊ちゃんは立ち上がり、机の椅子を窓際へ運んで来る。
「立てる?」
「うん」
差し伸べられた手を取り立ち上がると、俊ちゃんは私をギュッと抱き締める。
「ちょっと冷えてない?ノンちゃん、膝掛けとかある?」
「このハーフケットで良いかな?」
俊ちゃんは紀香から受け取ったハーフケットを私のお腹に掛け、自分が着ていた防寒着は羽織らせた。
そんなやり取りを見ていて、孝道君は付いたらしい。