夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「あのさ…家には家族が居るから黙って付いて来て」
「うん、分かった」
私が答えると俊ちゃんはバイクをニュートラルにし、ゆっくり引きながら一軒二軒と家を通り過ぎて行く。
えっ!?バイクを降りた所が家じゃなかったの?
私は首を傾げつつ、俊ちゃんの背中を追い掛けた。
四軒ほど進んだ所で、納屋の隅にバイクが置かれる。
んっ?着いたのかな?
俊ちゃんに視線を向けると『こっち』と言う様に手招きをし、納屋の2階へと上がって行く。
「靴を持ったまま来て」
えっ!?靴?
あっ、そうか!!
私は俊ちゃんの彼女じゃないし、友達と呼べるような仲でもない。
家族に見付かると、何かと面倒だもんね。
俊ちゃんの指示に従い、私は靴を持ったまま中へ入った。