夏の空~彼の背中を追い掛けて~
予想以上に精神的ダメージを受けたのか、数時間振りに吐き気が襲う。
「う゛っ…」
私は部屋を飛び出し、1階の洗面所へ駆け込んだ。
「大丈夫?」
「具合悪いの?」
次々と皆が集まり、洗面所が人で溢れ返る。
「皆、心配なのは分かるけど上に行こう!ほら俊ちゃんも!!ここは私に任せて!」
『ほらほら早く出た出た』と言うように、紀香は皆の背中を押し、洗面所のドアを閉めた。
「真弥、誰も居ないから気にしなくて良いよ?」
私の背中をそっと擦りなが、紀香はそう言った。
「有り難う紀香。…う゛っ…。迷惑掛けてごめんね…」
数分後には吐き気は治まり、紀香と部屋へ行くと俊ちゃんと弘晃君の姿が無い。
「俊ちゃんと弘君なら外だよ」
キョロキョロ見渡す私に気付き、孝道君が教えてくれる。
「有り難う」
私は窓際へ寄り、視線を外へ向けると、バイクが停めてある小陰に、俊ちゃんと弘晃君の姿があった。
深刻な顔して話をする2人がとても気になったけど、ここからでは何を話しているのか全く分からない。