夏の空~彼の背中を追い掛けて~
怖いよ…助けて!!
逃げなきゃ!!
でも全く動く事が出来ず、恐怖で体が小刻みに震え出す。
「隆明、止めろ!!真弥ちゃんには近付くな!」
紀香をベッドに座らせた孝道君が、隆明君の襟を掴んで私から引き離す。
「何すんだよ!俺、何にもしてないのに拒絶されたんだよ?その理由を知りたいと思っちゃいけないの!?」
「……」
「孝道ちゃん、何で黙るの?もしかして理由知ってんの!?俺だけが何も知らなくて、仲間外れにされてるみたいで凄いムカツク!!」
隆明君は苛立ちを抑えられず、拳を床へぶつける。
「分かったよ……。真弥ちゃんの拒絶の理由は、男性恐怖症が悪化したからなんだ…」
「えっ…?体育祭の時から3ヶ月は経ってるよね?かなり普通に過ごせるようになってたんじゃないの!?」
「だから…それは…俺が昨日……悪化させたんだ。今の真弥ちゃんは、俊ちゃん以外の男は寄せ付けない。悪いのは俺だ!攻めるなら俺を攻めろ」
孝道君は苦悩するように頭を抱え、ベッドに座る。
一方、事情を知った隆明君は何も言えず、その場で私に頭を下げた。
「真弥ちゃんごめん!マジでごめん!」
「私こそごめんね…。男の人が近付いて来ると、物凄い恐怖心に襲われて…怖くてこんな事に…。本当にごめんね」
まだ目を見て話せないけど、謝罪の気持ちを精一杯込めて、隆明君に謝った。
するとタイミングを見計らったかのように、スーッとドアが開き、外へ出ていた俊ちゃんと弘晃君が入って来た。